
アメリカと深い繋がりのある建築家のOさんの力を借りれば、 アメリカから輸入建材をコンテナで運んでくることも可能だったので、 長い間 外資系企業でアメリカやヨーロッパからコンテナで商品を運んでくる仕事をしていた私は、 やってみたくてたまらなくなりました。
そのときは、 せっかく大金を投資してリフォームした家を壊すことは絶対考えられないことだったので、 「更に増改築」 という方向で話を進めていました。
でも、 やはり大きな壁にぶち当たってしまいました。
それは、 いくら 増築部分を高気密で作り上げても、
他の部分の気密が悪ければまったく意味がない 、 ということなのです。
つまり、 1階に約25畳の立派なLDKを作ったのですが、 2階を高気密の構造で増築して1階部分と間仕切りで仕切ったところで、 高気密・高断熱住宅になることはない、 という説明をOさんから受けたのでした。
普通の住宅であれば、増築してまったく問題ないのですが、
「気密の高い家にするには、1階部分も含めて家中をすべて外断熱の断熱材で覆ってしまうのが一番良い選択です」 と、 ここでも思いがけずOさんから 「外断熱」 という提案が出てきました。

外断熱住宅、或いは高気密・高断熱住宅の施工には高い専門的知識が必要になります。
一般的な内断熱工法、 柱間充填断熱を施工してきた大工さんたちに この話をしてもなかなか受け入れてもらえないものがありました。
「気密って、間仕切りで仕切れば、増築する2階部分だけでも暖かい家になるでしょう?」
と、いうわけです。
ところが、 水蒸気は温度差のある家の中を移動するので、家全体の中の温度の低い場所に集中して結露が発生することになります。
また、水蒸気は圧力を持った気体であるため、グラスウールのような透湿性のある繊維系断熱材の中に簡単に浸透し、 結露を起こします。 いわゆる壁内結露です。
断熱ラインに隙間が出来ると その部分から室内で発生した水蒸気が入り込み、壁内結露を防止出来ない(建物を腐らせ寿命を著しく縮めます)、
ということなので、
断熱ラインを連続させる ということが、最低限の大原則、となるわけなのです。
と、なると 外断熱の家に改造するためには、 1階部分も含めてすべてプラスチック系の断熱材で覆うことになり、 せっかくの壁ももちろん壊すことになります。
その上、グラスウールのような繊維系断熱材が非常にコストが安いのとは対照的に、相当な費用がかかってしまうので、 これでは家をまるごと1軒建て替えするのより、費用がかかってしまうのではないか?、 とまたここで行き詰ってしまいました。
少々、話が専門的になってしまいましたが、 私もいろいろ資料を読んだり本を読んだりしながら考え、 結局すべてが振り出しに戻ってしまって、 力を尽くしてたくさんの資料を書いて下さったのに、営利目的にすることなく、 「ただ増築するだけでは、お望みの住宅にはなりませんよ」と はっきり教えてくださった Oさんに深く感謝して、 一旦すべてを諦めたのでした。
また、 Oさん経由で輸入建材を使って、 増築をする予定で意欲を見せて下さっていた工務店さんは、 今回の件がきっかけで、 みんなで外断熱施工のための講習会を受けに行かれたそうです。